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  • 2011.06.20 Monday
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ビーダッシュストーリーズ〜グローインアップ!〜Epilogue to the Future

「ごめんなさい。待たせてしまったわね」
席に座り、向かい側ストローでアイスティをかき回す少女に向かって
北条は謝った。


「・・いえ。慣れてますから」
少女はぽつっと言った。

「でも、良かったの?社長さんやみんなに紹介しようと思っていたんだけど」

「いらない媚は売る気はありません」
きっぱりと少女は言い切った。

苦笑いを浮かべる。
「・・・まったく、そういうところは明日香譲りなんだから」






北条が、団体を引退し1年半余りが過ぎたころ
突然、実家に鏡明日香が訪ねてきた。


鏡明日香・・・
一年後輩の5期生として入団以降
長年にわたり北条と抗争を繰り広げ
実力ルックス共に団体のトップヒールとして
溢れるばかりの存在感と影響力を持ったレスラーだった。

しかし、鏡は北条が引退してまもなく
「張り合いが無くなりましたわ」とだけ言い残し
突然リングから姿を消していた。


「お久しぶりですわ、沙希さん」
変わらぬ妖艶な笑みを浮かべて手を差し出す。

「明日香、どこかに消えたと思っていたら・・・。
 どういうつもり?」

「そう警戒なさらなくても。私達はすでに引退した身。
 ご実家で襲おうなんてこれっぽっちも思っていませんわ」
口元に手を当てて笑う。

「・・・・そうね。目的はともかくせっかくこんな所にまで来てもらったんだから
 あがって。お茶でも出すわ」

「それには及びませんわ。ですが・・・・少し歩きませんこと?」



3月とはいえ、まだ風は少し冷たい。
スプリングコートに身を包ませ
近くの公園に向かって二人はゆっくりと歩を進める。

「もう1年以上も前になりますのね。
 まだつい昨日のよう・・・」
懐かしむように遠くを見る。

「私はあまり思い出したしたくはないわ」

「あら、つれない言葉」

「自業自得でしょうに」

「・・それもそうですわね」

二人して軽く笑う。

やがて、小さな公園にたどり着く。

砂場には女の子達が砂山を作っている。
ジャングルジムでは男の子たちが一生懸命に上を目指して登っている。
他にもそれぞれ思い思いに遊ぶ子供たちがいた。

二人は周りが見渡せるベンチに並んで腰掛けた。
しばらく会話もなく、子供らを眺めた。


「やはり、いいものですわね」
ぽつりと鏡が言った。

「明日香、子供好きだったのね。意外だわ」

「あら、そうですの?」

「えぇ、好きなタイプには見えないわね。うっとおしいって遠ざけるタイプだと思ったわ」

「・・・・昔は実際そうでしたわね。青臭いお子様なんて見るのもムカつきましたもの」
そう言う鏡の目はリングの上のそれとは異なり
非常にやさしい慈愛のこもった目をしていた。



「そろそろ本題に入らない?」
しばらくして北条から切り出した。

「・・・そうですわね。じゃあ単刀直入に言いますわ。
 沙希さん。女の子を一人預かってはもらえないかしら」

「えっ??」
鏡の言葉に戸惑う北条。

「まあ実際会って頂いたほうが良いですわね」
そう言うと、鏡はブランコに座っていた一人の少女をこちらに呼んだ。

「亜美、挨拶なさい」

「・・・はい、お姉さま。
 はじめまして、栗浜亜美、13歳です」
小さな身体をかがませぺこりとお辞儀をする少女にあわせ
慌てて頭を下げる北条。

「沙希さんが地元で子供たち相手の教室を開いてるって風の噂で聞きましたの。
 ですから是非ともこの子を貴方の手で立派なプロレスラーにしてほしいんですの」

「・・・よろしく、です」

「ちょ、ちょっと待って。
 確かに私は子供向けの教室を始めたけど
 それはレスリングじゃなくてフェンシングよ?!
 それに、そもそもこの子と明日香関係は?
 素性もわからない子をはい、わかりましたって受け入れられるはずがないじゃない」
戸惑う北条。

「亜美は私の遠い親戚筋にあたるんだけど縁あって私が面倒を見てますの。
 ねえ、亜美」

「・・はい、お姉さま。
 私はお姉さまのもの。お姉さまが言うことは絶対」

「ちょっと、明日香あなたどういう教育を・・・」

「あら、これは元々よ。
 別に私が仕込んだわけではありませんわ」
明日香に頷く亜美。

「・・・・まあいいわ。
 で、そんな子をなぜ私に預けるの?
 明日香、あなたあたしがきらいなはずでしょうに」
北条がそう言うと鏡は笑い出した。

「まさか嫌いだなんて、 入団したとき最初から言ってたでしょう
 『貴方みたいな人が好き』って」

たしかに、入団テストのときから
鏡は北条に対して積極的だった。

しかし、すぐに鏡はあらゆる場面で北条と敵対関係にあったはずだ。

「一般的にも言うでしょう『可愛さあまって憎さ百倍』
 とか『嫌よ嫌よも好きのうち』とか」
まだ可笑しそうに笑う鏡を見て北条はため息をつく。

「本人のやる気もありましたし、ある程度の基礎は仕込んでいますの。
 後は、亜美を1年目から活躍できるように仕込んでもらいのですわ」

「自分でやればいいじゃない」
北条の言葉に

「私には人を教えるのは向きませんわ。
 それは自分が一番わかってますの。
 沙希さんは、真琴や和希達をトップレスラーに育て上げた実績がありますわ」

「それは、私の力じゃない。
 鉄山コーチはじめみんなの指導と、本人たちの努力の結果だわ」
北条の意見に寂しげに首を振る。

「確かに、体力や技術面はそうかもしれませんわね。
 でも、それ以外もものを沙希さんは後輩たちに伝えてますわ。
 それは、私にはないもの・・・・」

うつむく鏡。
しかし、すぐに顔を上げると
「それに、面白いじゃないですの。
 私と沙希さん二人の遺伝子を持った子がリングに上がるなんて・・・・
 夢のようですわ!」

「もう・・・まったく、やっぱり私は明日香が苦手よ」
目を輝かせる明日香を見て
自分の第一印象が間違いなかったと思った。

「亜美さんでしたっけ。貴方はどうなの?」
北条は少女のほうを向いて聞く。

「・・・私はお姉さまにとっての夢。
 そして、お姉さまの夢は私もおなじ」

「うちはフェンシングだけどそれでもいいの?」

「・・・お姉さまの言うことに間違いはないから」

「その点は心配していませんわ。
 なんていっても目の前にフェンシングから
 プロレス界を背負って立った女王にまでなった人がいるんですもの」
鏡の言葉に思わず詰まる。

「どうかしら。私の夢をあなたに託したいんですの」
まじめな表情で北条を見る。

「・・・即答は出来ないわ。少し考えさせてもらえないかしら」
間をおいて北条が答えた。

「えぇ、私達はしばらくは駅前のホテルにいますから
 いつでも連絡お待ちしてますわ」






3日後
少女、栗浜亜美は北条邸に下宿しながら
北条の指導を受けることとなった。

少女の素質はそれなりに高いらしく
フェンシングの基本的な動きはすぐに身に着けた。

そして、全体の練習の後
一人で受身の練習をしている。
見る限り、鏡はレスリングの基本はしっかりと教えていたようだ。

黙々と反復練習する姿を見て北条は決心した。



TVばかりで実際の試合を見たことがないと言う亜美を連れて
北条はこの大会に連れてきた。

実際の試合を見て、少女はかなり得るものがあったのだろう。
瞳の奥の光が若干強くなったような気がする。

「貴方を連れてきたのは正解だったようね」
上目に北条を見た少女は、表情を変えずに
また目の前のチョコパフェを食べることに集中する。

あと1年あまりで、亜美は入団テストを受けることになる。
受かったなら相羽や神塩達のライバルとなる。

それまでに北条は自分が教えることが出来るすべてのものを
目の前の少女に叩き込むつもりだ。

無論、身体の成長途上の少女に合わせて無理はさせられないが
自分が経験したことを1年かけて語っていこう
先輩のこと後輩のこと
女王の重責
聞かせたい事はたくさんあった。



次世代への移り変わりは着実に進んでいる。

グリズリー山本から佐久間理沙子、北条沙希、サイクロン近藤、スターライト相羽と続く系譜を
この少女はたどることが出来るだろうか。

それはまだ誰にもわからない。
これからの少女の努力しだいだろう。

北条は自分もまたこの少女に
自分の夢をかけているんだと実感するのだった。



「それじゃ、いきましょうか」








ビーダッシュストーリーズ〜グローインアップ! 終




>グローインアップ!10>> 

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  • 2011.06.20 Monday
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コメント
ずっと少女の正体が気になってたんですが
まさか美沙のライバル(脳内設定)の「栗浜」ちゃんとは
これは、サバ2への布石だったんですね
サバ2ベースの新作が楽しみです
哲様≫
詳しくはあとがきに書きましたが
彼女にしました。
これがサバ2へ続く道筋になればいいかなw
  • アワモ
  • 2008/11/05 3:58 PM
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